令和4年度同窓会記念誌 希望の光 ~新しい世を照らせ~
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 今年度の同窓会担当の皆さんは、甲府一高を卒業して30年以上も経ち、私は教員を退職して20年近くも経過してしまいました。当番幹事の皆さんと過ごしたあの素晴らしい時代を思い返してみますと、現代の社会情勢との大きな変化を感じています。 現在新型コロナウィルス(COVID-19)が流行しています。世界のどの国でも、それぞれの国状によって最適と思われる対策を講じていますが、目に見えないものだけに各国の政府はいろいろな政策で、国の安定を模索しています。三密(サンミツ)を避けるべく音楽会などの各種イベント、人間の移動など本当にすべてなくなりました。世界的スポーツイベント東京オリンピック・パラリンピックにおいてさえ、無観客で行わざるをえませんでした。当然、世界的規模で経済活動も停滞、不況となりました。科学者によりますと、ウィルスは生物の進化に重要な役割を果たしてきたということですので、これからもウィルスと人間とのせめぎあいは続き、人間の叡智とウィルスとの共存を強いられていくことでしょう。 このウィルスに対するワクチン接種について、貴重な体験をしました。 ワクチン接種券が送付されてきましたのですぐに電話予約を試みました。しかし、連日10日間かけ続けてもつながりませんでした。知人から、ラインで予約すると比較的早く予約できることを聞きましたので、ラインで申し込んだところ、次の日にうまく予約をとることができました。電話による10日間のタイムロスはなんだったのかと、改めて時代遅れを実感したのでした。後期高齢者となり、何事もなく日々平穏に過ごしていたのでは、時の流れに遅れてしまうのだろうかと、やや不安な気分になったところです。 時の流れの中で、今特に気になることが2つあります。そのひとつは、平成23年の福島原発の炉心メルトダウン事故についてです。放射能の特質から、原子炉の事故は絶対に起きてはならない事柄です。 私は日本の科学力を信じていましたので、福島の事故を知ったとき、大きな驚きとある種の怒りのような感情がわきあがりました。この地域が、津波だけの被害であったならばおそらく数年で復興は完了し、住民の方々はもとのような生活に戻れたのではないかと、心から残念に思っています。福島のこの事故による放射能の発散はきわめて深刻です。半減期が30年とも40年とも言われている放射能に対して、これから何らかの措置を考えなければなりません。融解した炉心を取り出して、何百メートルもの地下に埋める処理、汚染された大量の冷却水は放射能濃度を薄めて海に放出する処理が決定されました。これから100年とか200年に及ぶ長い期間、放射能汚染物質に対処していく必要があります。 さて、もうひとつ述べたいのは、国の膨大な借金についてです。 一千兆円を超える国の借金を、政府ではどのように解消しようとしているのでしょうか。当然10年や20年で解決できることではありませんので、次の世代への負の遺産とならざるを得ません。ここのところは国民全体で我慢して、何年ぐらいかけてこの負債を解消しましょうなどの方針を示し、来年からでも実際に取り組みを始めるような、政治的手法はないものでしょうか。今回の同窓会担当の皆様は、正に社会を牽引する中堅どころの現役です。前述の原子炉の処理、国の膨大な借金、この2つの負の課題を、今の世代・次の世代の皆さんが新しい感覚で奮闘なされ、何とか解消できますよう、心苦しい思いを込めつつ期待しているところです。11時  は  流  れ  て3組担任 齊 木   圭 二  

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